地方都市の商店街がかつて担っていた役割と機能は時代とともに変化し、新たな役割を備えた街のインフラとして再び地域の中心に据えられることが切望されている。計画地である商店街は、駅と港、公園や近辺に点在する観光資源とを繋ぐ重要な都市機能であり、再び地域の人々の生活の中心地となりえる可能性を持ってる事がみてとれた。
「そこにだけ有るモノ」を求めて人々は集まる。
「モノ」とは単に物質的な物だけではなく、地場産業である林業や水産業を中心とした生活文化そのものである。ここに提案する「GARDEN MALL」は、既存建物を、鉄骨架構を残して解体し、空に開け放たれた空間に様々な草木を植栽し、従来の閉鎖的なアーケードの空間に、自然溢れる風通しの良い場を生み出し、そこに創業支援施設、フードコート、商店、アートギャラリー、市民と観光客が交流するワークショップなどを内包している。
市内における緑のネットワークの再構築を促し、周辺の各施設との繋がりをより強固にするために、アーケード商店街を「緑の拠点」として整備し、この「緑の拠点」が、従来の商店街に代わる新しい市街地空間として機能する事を意図している。 また吊屋根や屋台小屋の架構には、地場産材を積極的に利用した新しい工法の採用を模索し、建設業のみならず、林業、製材加工業等、様々な地元産業の再発展、及び技術向上のきっかけとなる事を目指した。